登記の申請を御検討されている皆さまへ

更新日:2023年7月10日

はじめに

 登記は、国が管理する登記簿に権利関係等を登録することにより、皆さまの大切な権利や財産を守るとともに、登記簿の内容を公開することなどを通じて取引の安全や円滑に資することを目的とする制度です。
 例えば、不動産の所有者が変更した(所有権の移転の登記)、住宅ローンを完済した(抵当権の抹消の登記)、会社の役員を変更した(役員の変更の登記)、居住用の住宅を新築した(建物の表題登記)、売買のために土地を二つ以上に区分けしたい(分筆の登記)、新しく会社を設立したい(会社設立の登記)といった場合に、登記簿にその内容を記録することとなります。
 このように登記簿に記録するためにする手続が、登記の申請です。
 登記は、その種類に応じて、一定の期間内に申請することが義務とされているものもありますが、何よりも、御自身の権利や財産を確実に守り、また、登記をしないことによる不利益を回避するためには、速やかに登記申請を行うことが重要です。
 
 もっとも、登記申請において、申請書やその添付書類については、申請者が自ら作成・収集する必要がありますが、中には、その作成や収集に法律知識や測量等の専門知識が必要となるものもあります。
 申請書やその添付書類の作成や収集を行うことが難しい場合には、法律の専門資格者に相談・依頼することもできます。
 以下では、不動産に関する登記と商業・法人に関する登記の概要や手続の流れについて、簡単に説明します。

不動産登記

 土地や建物に関する登記であり、権利に関する登記と表示に関する登記があります。
 
●不動産の権利に関する登記とは?
 不動産の権利に関する登記とは、所有権、抵当権、賃借権など、不動産の権利の状況や変動を示すための登記です。
 例えば、不動産の売買により土地登記簿の所有者の名義を書き換える登記(所有権の移転の登記)では、買主・売主の間で売買契約書を作成し、それを登記申請書の添付書類として、登記申請書とともに申請をします。
 不動産の権利に関する登記には、登記申請人に申請義務はありませんが、令和6年4月1日からは、不動産を相続したことによる相続登記の申請が義務化されます(詳しくはこちら)。
 
●不動産の表示に関する登記とは?
 不動産の表示に関する登記とは、土地の面積や地目、建物の構造や床面積など、不動産の物理的な状況を示すための登記です。
 例えば、土地を分筆する(一筆の土地の区画を二つ以上に区分する)登記では、申請人は、土地の測量を行った上、地積測量図(測量技術を用いて土地の位置や区画などを正確に図示した図面)を作成し、それを登記申請書の添付書類として、登記申請書とともに申請をします。
 不動産の表示に関する登記は、不動産の現況を迅速かつ正確に公示する必要があるため、一部の手続を除き、原則として物理的状況が変わった日から1か月以内に申請する必要があり、登記申請人には申請義務が課されています(なお、分筆の登記等一部の登記については、申請義務が課されていません。)。
 
●登記を申請した後の流れ
 法務局に登記の申請をすると、登記官(法務局職員)が、申請された登記申請書と添付書類から、登記申請人に申請の意思があるのかどうかや、権利の変動が確実に起きているのかどうかなど、申請のとおりに登記をしてよいか、厳格に審査します。
 また、表示に関する登記では、書面の審査に加えて、登記官が実際に現地に赴いて、申請どおりの現況となっていることの調査を行うことがあります。
 このように、登記の審査は厳格かつ慎重な審査を行うため、申請がされてから登記が完了するまでには、申請の内容にもよりますが、数日から数週間のお時間をいただいています。
 このような審査を経て、登記が完了すると、登記申請人には、登記が完了したことの証明として登記完了証が通知されるほか、登記により新たに権利を取得された方(例えば、売買による所有権の移転の登記を申請した場合における買主)には、登記識別情報(かつての権利証に相当するもの)が通知されます。
 なお、登記識別情報は、他人に知られることがないよう、権利を取得された方において、厳格な管理をお願いします。

不動産登記の流れ

(1)登記原因となる法律行為等の発生
 例:売買契約の成立、相続の発生(遺産分割協議の実施)、建物の完成等
(2)発生した法律行為等に基づく書面の作成・収集
 申請する方において御準備いただくものです。
 例:売買契約の場合 売買契約書の作成
   相続の場合 遺産分割協議書の作成
   建物の完成の場合 建築確認済証等の取得
(3)登記申請書の作成、添付書類の収集
 申請する方において御準備いただくものです。
 (2)で作成・収集した書面のほか、登記申請書や委任状など、登記申請に必要な書面を準備していただく必要があります。
 なお、手続ごとに必要な添付書類が異なります。詳しくは「不動産登記の申請書様式について」のページを御覧ください。
(4)登録免許税の納付
 税務署で納付する方法、収入印紙で納付する方法などがあります。
(5)登記申請書・添付書類の提出
 管轄法務局の窓口で提出する方法のほか、管轄法務局に郵送で提出することもできます。
 オンラインで提出される方はこちらのページを御覧ください。
(6)申請された登記の審査
 審査の結果、申請内容に不備がある場合には、登記所から連絡があります。
 不備がある場合、申請人御自身において訂正をしていただくか、又は書面を再度作成していただく必要があります。
(7)登記の完了
 登記完了証を交付します。申請された登記により新たに権利を取得された方(例えば、不動産の売買による所有権の移転の登記における買主等)には、登記識別情報が通知されます。
 なお、登記識別情報はかつての権利証に相当するものですので、厳格な管理をお願いします。

よくあるお問合せ

☆相続登記を申請される方へ
 相続登記の申請手続を詳しく説明したハンドブックを掲載しています。
 詳しくは、「相続登記の申請をされる方へ(相続登記申請手続のご案内)」のページを御覧ください。
 
☆抵当権抹消の登記を申請される方へ(住宅ローン等を完済した方へ)
 抵当権抹消登記の申請手続を詳しく説明したハンドブックを掲載しています。
 詳しくは、「住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)」のページを御覧ください。
 
☆登記されている住所・氏名に変更があった方へ
 住所変更登記・氏名変更登記の申請手続を詳しく説明したハンドブックを掲載しています。
 詳しくは、「登記されている住所・氏名に変更があった方へ(住所変更登記・氏名変更登記の申請手続のご案内)」のページを御覧ください。

商業・法人登記

 会社・法人は、会社法や各種法人に関する法律(例えば、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律等)に基づいて必要な設立行為を行った後、設立の登記をすることによって成立します。そして、商号や代表者の氏名など、会社・法人の重要な情報を国が管理する登記簿に登録して公開することにより、会社・法人の信用を維持し、取引の安全と円滑を図っています。
 商業・法人登記の申請は、その会社・法人の代表者がすることとなります。また、申請しようとする登記の内容に応じて、会社法や各種法人に関する法律に基づき作成された議事録のほか、印鑑証明書等の各種証明書なども必要になります。
 商業・法人登記の申請は、法務局に申請書等が提出された後に、登記官(法務局職員)が審査しており、登記の内容等に応じて数日から数週間のお時間をいただいています。
 なお、不動産登記制度とは異なり、登記が完了したことの証明書等は交付されません。

商業・法人登記の流れ

(1)登記原因となる事実の発生
 例:設立行為の完了、役員の就任・退任、募集株式の発行等
(2)登記申請書の作成、添付書類の取得
 申請する方において御準備いただくものです。
 登記申請書や添付書類など、登記申請に必要な書面を作成・収集していただく必要があります。詳しくは、「商業・法人登記申請書様式」のページを御覧ください。
(3)登録免許税の納付
 税務署で納付する方法、収入印紙で納付する方法などがあります。
(4)登記申請書・添付書類の提出
 管轄法務局の窓口で提出する方法のほか、管轄法務局に郵送で提出する方法も可能です。
 オンラインで提出される方はこちらのページを御覧ください。
(5)申請された登記の審査
 審査の結果、申請内容に不備がある場合には、登記所から連絡があります。
 不備がある場合、申請人御自身において訂正をしていただくか、又は書面を再度作成していただく必要があります。
(6)登記の完了

登記手続案内

 登記手続案内は、登記申請を御自身で行うことを希望されている方に、法務局の担当者が、登記申請書の作成や添付書類の収集方法等について説明を行うものです。
 登記手続案内は、法務局窓口での対面、電話又はウェブ会議サービスのいずれかの方法により、利用することができます。
 多くの皆さまに御利用いただけるよう、事前予約制・時間制(20分程度)としていますので、御了承ください。
 ただし、登記申請の内容やあらかじめ準備されている証明書の状況等に応じて、一度の手続案内では、登記申請書等の提出までに至らない場合もありますので、複数回に渡ることがあることを御了承の上、利用していただくようお願いします。
 また、登記手続案内は、登記の申請を円滑にしていただくために行っていますので、例えば、これから売買をしたいが売買契約書はどのように作成したらよいか、資本金を増額(増資)することを検討しているが、どのような手順で進めるべきかといった御相談には応じられませんので、御理解の上、御利用願います。
 なお、申請を希望される登記の内容等によっては、専門的な法律知識や測量技術がないと作成・収集することが難しい添付書類があり、専門家(司法書士・土地家屋調査士・弁護士)への依頼・相談をお勧めする場合がありますので御了承ください。
 
※登記手続案内において、担当者から説明することが可能な範囲等は、「よくある質問」ページのQ3を御確認ください。
 一般的な登記申請書の様式等については、以下のページに掲載していますので、あらかじめ御確認ください(登記手続案内においても、この掲載様式を前提として内容を説明しています。)。
 ○ 不動産登記申請書の様式
 ○ 商業・法人登記申請書の様式