遺言者が亡くなられた後に行う手続

更新日:2022年11月1日


 遺言者が亡くなられた後に行う手続について見てみましょう。
 この制度では、相続人等の方は主に以下の3つのことができます。

◆ご家族・お知り合い等が作成した遺言書で、自分を相続人や受遺者等・遺言執行者等とする遺言書が法務局(遺言書保管所)へ預けられているかどうかを確認する
遺言書保管事実証明書の交付の請求(1通800円)をします。

◆相続人等の方に関係する遺言書の内容の証明書を取得する
遺言書情報証明書の交付の請求(1通1,400円)をします。

◆相続人等の方に関係する遺言書を見る
遺言書の閲覧(モニター/原本)の請求(1回1,400円/1,700円)をします。

 しかし、亡くなられたご家族やお知り合いが作成した遺言書を法務局(遺言書保管所)に保管していたとしても、生前、そのことを一部の相続人にのみ伝えていたり、一切誰にも伝えていなかったりということもあると思います。生前にこのような話を聞いていなかった方が、亡くなられた後になってから、その事実に気付くというのはとても難しいことです。
 そこで、一定の条件の下、法務局(遺言書保管所)から、遺言書を保管していることをお知らせするという仕組を設けています。このとき送付される通知には、「関係遺言書保管通知」と「遺言者が指定した方への通知(以下「指定者通知」といいます。)」の2種類があります。
 関係遺言書保管通知は、相続人等が、遺言書の閲覧をしたときや遺言書情報証明書の交付を受けたときに、他の相続人、遺言書に記載された受遺者等、遺言執行者等に送付されます。
 一方、指定者通知は、遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認したときに、相続人等の中で、遺言者が指定した1名の方に送付されます。ただし、遺言者があらかじめ指定者通知を希望した場合に限られます。このため、遺言者が指定者通知を希望せず、どなたも指定しなかった場合には、指定者通知は送付されません。
 相続人等の方が行う手続通知についてもっと詳しく知りたい方は、法務省ホームページをご覧ください。
 ここでは、これらの手続のときに間違いやすいところなど、特に気をつけていただきたい点をご紹介します。
 

遺言書保管事実証明書の交付の請求のときに気をつけるところとは?

 遺言書保管事実証明書の交付請求の手続の際に用意するものについては、法務省ホームページをご覧いただくこととして、ここでは間違いやすいところをお示ししますので、手続に当たって書類を作成するときにご注意ください。
 また、特殊な事例として、相続財産管理人が請求するときの注意事項もご紹介します。
 

(間違いやすい事例➀)戸籍謄本等が不足している

 遺言書保管事実証明書の交付を請求するときには、遺言者が死亡したことを確認できる書類として、戸籍(除籍)謄本等のほか、請求者が相続人の場合には、遺言者の相続人であることが確認できる戸籍謄本が必要です。また、相続人全員の住所が記載された法定相続情報一覧図の写しを使うのも便利です。
 このとき、必要な戸籍(除籍)謄本等が多くなる事例として、兄弟姉妹が相続人として遺言書保管事実証明書の交付を請求する場合があります。この場合には、

➀遺言者に子がいないこと、
➁遺言者の父母が死亡していること、

を戸籍(除籍)謄本等で確認する必要があります。
 このため、遺言者と遺言書保管事実証明書の請求をする方が兄弟姉妹であることが分かる戸籍謄本等のほか、遺言者に子がいないことを証明するため遺言者の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍)謄本等や、遺言者の父母が亡くなっていることが掲載されている戸籍(除籍)謄本等も必要になりますのでご注意ください。
 

(間違いやすい事例➁)請求人の氏名及び住所を確認する書類に不備がある

 遺言書保管事実証明書の交付を請求するときには、請求人の氏名及び住所を確認できる書類として、住民票の写し・住所が記載された法定相続情報一覧図の写し、運転免許証等のコピー等が必要です。運転免許証等のコピーを使った場合には、請求人が原本と相違がない旨と請求人の氏名を記載する必要がありますのでご注意ください。

(間違いやすい事例➂)遺言書保管事実証明書の交付請求書に記載漏れがある

 遺言書保管事実証明書の交付請求書は、以下の様式を使用します。
 法務省ホームページに掲載されている記入上の注意事項のとおりですが、記載が漏れることが多いところをご紹介しますので、交付請求書を作成するときにご注意ください。


(間違いやすい事例➃)返信用封筒の宛先が請求人の住所と異なっている


 遺言書保管事実証明書の交付請求は、郵送でも行うことができますし、発行した証明書を受け取るときも、郵送により受け取ることもできます。郵送による受け取りを希望される場合には、請求者又は法定代理人の住所・氏名を記入し、切手を貼付した返信用封筒を同封してください。
 交付請求書に記入された請求人の住所・氏名と、返信用封筒に記入された住所・氏名が異なっていると返送できませんので、一致していることを確認してください。

 

(特殊な事例)相続財産管理人による請求のとき

 ここでは、特殊な事例として、相続財産管理人に選任された方が遺言書保管事実証明書の請求をするときの方法について記します。

◆添付書類
 交付請求をするときに必要な書類は、以下のとおりです。

  • 家庭裁判所の相続財産管理人の選任審判書(作成後3か月以内のもの)又は家庭裁判所の書記官発行の相続財産管理人証明書(作成後3か月以内のもの)
  • 遺言者の除籍謄本及び住民票の除票の写し
 ただし、家庭裁判所の相続財産管理人の選任審判書又は家庭裁判所の書記官発行の相続財産管理人証明書に、➀相続人が不存在であること、➁遺言者の死亡年月日及び➂遺言者の最後の住所の記載がある場合には、遺言者の除籍謄本及び住民票の除票の写しは必要ありません。

◆交付方法
 窓口での交付と郵送による交付のいずれも可能です。
 窓口での交付を希望する場合は、相続財産管理人本人であることを確認しますので、官公署から発行されるマイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書、旅券等を持参してください。
 特に注意が必要なのは、相続財産管理人に選任された弁護士又は司法書士が法定代理人として請求する場合で、家庭裁判所の相続財産管理人の選任審判書等に記載された住所が事務所の住所になっているときです。このようなときは、弁護士会又は司法書士会が作成した事務所の住所と個人の住所が併記された証明書を添付してください。
 なお、本人確認書類として、弁護士会又は司法書士会発行の顔写真付き身分証は官公署から発行された書類ではないので利用できません。
 郵送による交付を希望するときは、請求書に記載された法定代理人の住所に送付しますので、切手を貼付した返信用封筒を同封してください。

◆遺言書保管事実証明書の交付請求書の記入上の注意事項
 ここでは、具体的な事例を使って記入上の注意事項を見てみましょう。






 

遺言書情報証明書の交付の請求のときに気をつけるところとは?

 ここでは、遺言書情報証明書の交付請求の手続をするときにご注意いただきたいところとして、間違いやすかったり、勘違いしやすい事例をお示ししますので、ご注意ください。

(間違いやすい事例➀)保管証や指定者通知だけでは遺言書情報証明書を取得できない

 遺言書の保管申請の手続が完了したときに、遺言者の方に「保管証」という書類をお渡ししています。
 また、指定者通知とは、遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認したときに、相続人等の中で、遺言者が指定した1名の方に送付されるもので、通知の表題には「遺言者が指定した方への通知」と記載されています。
 なお、遺言者が指定者通知を希望しなかった場合には、指定者通知は行いません。
 遺言者の方が亡くなられた後に、相続人等の方に関係する遺言書の内容の証明書を取得するときには、遺言書情報証明書の請求をしていただくのですが、これらの保管証や指定者通知だけがあれば、遺言書情報証明書の請求ができるわけではありません。ここは間違いやすいところですので、ご注意ください。
 遺言書情報証明書を取得するときには、添付書類として戸籍謄本等の書類が必要です。詳しくは、法務省ホームページをご覧ください。
 

(間違いやすい事例➁)戸籍謄本等が不足している

 遺言書情報証明書の交付の請求は、相続人のほか、受遺者等や遺言執行者等も行うことができます。このときに必要となる添付書類には、請求者に応じて必要となるものと、共通して必要となるものがあります。
 共通して必要となる書類は、後述する相続人全員の住所が記載された法定相続情報一覧図の写し又は、遺言者及び相続人全員の戸籍(除籍)謄本等や住民票の写しをご用意してください。
 通常は、「遺言者の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍)謄本」、「相続人全員の戸籍謄本」及び「相続人全員の住民票の写し」の3点セットがあれば足りるのですが、必要な戸籍(除籍)謄本等の通数が多くなる事例としてよくあるのが兄弟姉妹が相続人として遺言書情報証明書の交付を請求する場合です。

 この場合には、

➀遺言者に子がいないこと、
➁遺言者の父母が死亡していること、
➂相続人となる兄弟姉妹全員が遺言書情報証明書の交付請求書に記載されていること、

を戸籍(除籍)謄本等で確認する必要があります。
 このため、遺言者の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍)謄本等に加え、遺言者の父母についても、それぞれ出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍)謄本等が必要になります。更に、万が一、兄弟姉妹の中に遺言者よりも前にお亡くなりの方がいらっしゃる場合は、その方についても出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍)謄本等が必要です。
 遺言書情報証明書の交付請求の際に添付書類である戸籍(除籍)謄本等に不足があると、そのままでは手続ができませんので、兄弟姉妹が相続人として遺言書情報証明書の交付を請求する場合にはご注意ください。
 なお、法定相続情報一覧図の写しを作成いただければ、戸籍(除籍)謄本等の束を提出する必要がなくなり、他の相続手続でも利用できますので、作成することをおすすめします。ただし、相続人に廃除された者がある場合は、その者の戸籍謄本及び住民票の写しも必要になるのでご注意ください。
 詳しくは、法務局ホームページをご覧ください。
 

(間違いやすい事例➂)遺言書情報証明書の交付請求書に記載漏れがある

 遺言書情報証明書の交付請求書は、法務省ホームページに掲載されている記入上の注意事項(請求人が個人の場合請求人が法人の場合)を参照して書いていただきますが、以下のとおり、請求書の1ページ目の「請求人又は法定代理人の電話番号」欄や、3ページ目の「請求人又は法定代理人の記名」欄は、記載が漏れることが多いので、交付請求書を作成するときにご注意ください。

 

(間違いやすい事例➃)返信用封筒の宛先が請求人の住所と異なっている

 遺言書情報証明書の交付請求は、郵送でも行うことができますし、発行した証明書を受け取るときも、郵送により受け取ることもできます。郵送による受け取りを希望される場合には、請求者又は法定代理人の住所・氏名を記入し、切手を貼付した返信用封筒を同封してください。
 交付請求書に記入された請求人の住所・氏名と、返信用封筒に記入された住所・氏名が異なっていると返送できませんので、一致していることを確認してください。

東京法務局東京法務局の窓口対応時間
〒102-8225 東京都千代田区九段南1丁目1番15号
電話:03-5213-1234(代表)