遺言書の保管申請の手続

更新日:2022年10月26日


 遺言書の保管申請の手続について見てみましょう。
 保管申請の当日は、後述の必要書類を用意し、予約した日時に必ず遺言者ご本人が法務局(遺言書保管所)へお越しください。遺言者ご本人がいらっしゃらなかったり、書類をお忘れになると、予約されていても手続ができませんので、ご注意ください。法務局(遺言書保管所)にお越しの際に、ご家族の方等がお付き添いいただくことは差支えありません。
 当日は、遺言書保管官が本人確認や遺言書の形式の適合性の確認などを行います。その結果、遺言書、申請書及び添付書類に問題がなく、手数料の納付も行いますと手続が完了し、最後に保管証をお渡しします。受付から完了までに約1時間程度を要しますので、ご注意ください。
 保管証には、遺言者の氏名、出生の年月日、手続を行った法務局(遺言書保管所)の名称及び保管番号が記載されています(保管番号とは、保管した遺言書を特定するための重要な番号です。)。遺言書保管所に遺言書を預けていることをご家族等に伝える際に、保管証の写しを渡すなどされると確実です。
 保管申請の手続については、法務省ホームページもご覧ください。
 それでは、当日お持ちいただく必要書類について、ご説明します。

保管申請の手続をするときに必要なものは?

 保管申請の手続の際には、以下のアからオまでのものをお持ちいただく必要があります。

ア  遺言書
イ  保管申請書
ウ  添付書類
エ  顔写真付きの官公署から発行された身分証明書
オ  手数料(遺言書1通につき3,900円)

 このうち、「ウ 添付書類」と「エ 顔写真付きの官公署から発行された身分証明書」は特に間違いが生じやすいところですので、注意が必要な点についてご説明します。

添付書類として用意するもの

 住民票の写しを用意してください。
 このとき、本籍と戸籍の筆頭者の記載があることが必要ですマイナンバーや住民票コードの記載は不要です。 )。区役所等で住民票の写しを取得する際に、本籍と戸籍の筆頭者が記載されていることをご確認ください。保管申請の当日にお持ちいただいた住民票の写しに本籍と戸籍の筆頭者の記載がない場合には、手続ができませんので、くれぐれもご注意ください。
 また、海外に在住している日本人の場合は、現地の在外公館で在留証明書を取得した上で、戸籍謄本も用意してください。在留証明書には本籍地は記載されるものの、戸籍の筆頭者は記載されませんので、戸籍謄本も必要です。

顔写真付きの官公署から発行された身分証明書

 使用されることが多い身分証明書としては、マイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書、旅券等があります。また、有効期限のある身分証明書については、有効期限内のものである必要があります。
 ここで注意が必要なのは、健康保険証のように顔写真のないものでは手続ができない、ということです。これは、顔写真のないものを複数種類用意したとしても同様です。
 もし、顔写真付きの官公署から発行された身分証明書をお持ちでない場合には、保管申請の手続ができません。そのような場合にはあらかじめマイナンバーカードを取得することをおすすめしています。

保管申請書を作成するときの注意点は?

 保管申請書は、法務省ホームページに掲載されている記載例・注意事項を参照して記入してください。
 ここでは、保管申請書を作成するときに特に間違いが生じやすく、注意が必要な点について例を挙げてご説明します。

【遺言者欄】の遺言者の住所、本籍及び筆頭者の氏名は、住民票の写しのとおりに書く

 住民票の写しの住所欄に「東京都千代田区九段南1丁目1番15-806号」となっているときを例に見てみましょう。

 遺言者の住所、本籍及び筆頭者の氏名は住民票の写しに書いてあるとおりに記載します。
 この例のように、「九段第2マンション806号室」にお住まいの方の場合でも、住民票の住所欄が「東京都千代田区九段南1丁目1番15-806号」となっているときは、そのまま記載し、建物名欄は空欄にします。
 また、戸籍の筆頭者は、お亡くなりになったとしても、筆頭者としてそのまま記載されています。このようなときも、住民票の写しのとおりに申請書に記載してください。

【受遺者等・遺言執行者等欄】に、対象者を漏れなく書く

 受遺者とは、遺言により財産を受け取る者のことであり、遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続をする者のことです。遺言書に受遺者や遺言執行者が書かれている場合は、保管申請書の【受遺者等・遺言執行者等欄】に、その方々の氏名や住所等を記入してください。
 また、受遺者や遺言執行者に類する方についても、同様にその方々の氏名や住所等を記入する必要があります。具体的には、法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年法律第73号)第9条第1項第2号及び第3号に掲げる者が該当するのですが、よくある事例は以下のとおりです。

◆受遺者等として記入する必要がある方

  • 廃除する意思を表示された推定相続人
  • 祖先の祭祀を主宰すべき者
  • 保険金受取人の変更により保険金受取人となるべき者 など
  ◆遺言執行者等として記入する必要がある方
  • 未成年後見人
  • 未成年後見監督人 など

予備的な遺言のときも、対象者を【受遺者等・遺言執行者等欄】に記載する

 以下の遺言書のサンプルのように、財産を相続させる者が遺言者よりも先に死亡した場合等には、遺言よしおに相続させるつもりであった財産を遺言よしこに相続させることにするといった遺言を予備的な遺言といいます。

 遺言者が書いた遺言書が予備的な遺言である場合には、保管申請書の【受遺者等・遺言執行者等欄】に、予備的に指定された方の氏名や住所等も記入してください。
 上の例の場合には、「遺言よしお」と「遺言よしこ」の双方とも書く必要があります。

海外に居住する方の住所の書き方は

 遺言者が海外にお住まいの場合や、受遺者等や遺言執行者等の中に海外にお住まいの方がいらっしゃる場合は、保管申請書の「都道府県市区町村大字丁目」欄に「備考欄に記載のとおり」と記入し、備考欄に日本語表記とアルファベット表記を併記します。
 特に、受遺者等や遺言執行者等については、居住する海外の住所に宛てて遺言書を保管している旨の通知を国際郵便で発送しますので、以下の記載例のように住所と氏名をアルファベットで書いてください(住所の記載例として、ホームページに掲載されていた在カナダ日本国大使館の住所を使用しています。)。

 

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