土地の境界には,「筆界」と「所有権界」とがあります。

 「筆界」とは,土地が登記された際に,その土地の範囲を区画するものとして定められた線をいい,所有者間の合意などによって変更することはできません。
 一方,一般的にいう「境界」は,この筆界と同じ意味で用いられるほか,所有権の範囲を画する線(所有権界)という意味で用いられることがあり,その場合には,筆界とは異なる概念となります。
 筆界は,所有権界と一致することが多いですが,一致しないこともあります。
「筆界」と「所有権界」
筆界 所有権界
  • 土地の区画を示す線(公法上の境界)
  • 分筆や合筆等の登記によらなければ,筆界は変更することができない
  • 所有権の範囲を示す線(私法上の境界)
  • 所有者間の合意などによって,変更することができる

 土地の一部の売買や贈与,時効による取得などの後,分筆の登記がされていないなどの特別な事情がなければ,「筆界」と「所有権界」は一致しています。


 上図において,甲地(図のオレンジ色)の所有者と乙地(図のグレー色)の所有者が,A,B,C及びFの各点を順次結んだ線で囲まれた部分と,C,D,E及びGを順次結んた線で囲まれた部分を交換した場合には,甲地と乙地の筆界は,A,B,C,D及びEの各点を順次結んだ線のまま変わりませんが,甲地の所有者と乙地の所有者との所有権界は,F,C,Gの各点を順次結んだ線ということになります。


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