Q.
筆界とはなんですか。一般的にいう境界とは違うのですか。
A.
「筆界」とは,ある土地が登記されたときにその土地の範囲を区画するものとして定められた線であり,所有者同士の合意によって変更することはできません。
これに対して,「境界」は,所有権の範囲を画する線という意味で用いられることもあり,その場合には,「筆界」と異なる概念となります。筆界は所有権の範囲と一致することが多いのですが,一致しないこともあります。
Q.
筆界の特定とは何ですか。
A.
ある土地が登記された時に,その土地の範囲を区画するものとして定められた線(筆界)を,現地において特定することです。新たに筆界を決めるのではなく,調査の上,登記された時に定められた筆界を,筆界特定登記官が明らかにすることです。
Q.
筆界はどのようにして特定されるのですか。
A.
筆界特定調査委員という専門家が,これを補助する法務局の職員とともに,土地の実地調査や測量を含むさまざまな調査を行った上,筆界に関する意見を筆界特定登記官に提出し,筆界特定登記官が,その意見を踏まえて筆界を特定します。
Q.
筆界特定の申請は,誰が行うことになるのですか。
A.
土地の所有者として登記されている人及びその相続人などです。
Q.
筆界特定の申請はどこの法務局にしたらよいですか。
A.
対象となる土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の筆界特定登記官に対して,筆界特定の申請をすることになっています。なお,土地の所在地を管轄する支局又は出張所を経由しても申請することができます。
Q.
申請に際しては,どのような書類や資料が必要なのですか。
A.
申請書に必要な事項を記載し,添付書類とともに提出する必要があります。
また,手続きを迅速に進めるため,お手持ちの資料をできるだけ提出していただけると助かります。
申請書様式
法務省ホームページに掲載しております(一太郎,Word及びPDF形式)。
Q.
筆界特定の申請に必要な手数料はどのくらいですか。
A.
申請手数料は,対象土地の価格によって決まります。例えば,対象土地(2筆)の合計額が4,000万円の場合,申請手数料は8,000円になります。
Q.
手数料以外に必要な費用について教えて下さい。
A.
手続きの中で測量を要することがあり,そのときには測量費用等を負担する必要があります。
Q.
筆界特定がされた結果はどのように公開されるのですか。また,登記記録において公示されるのですか。
A.
筆界特定の対象となった土地を管轄する登記所において筆界特定書が保管されるので,筆界特定書の写しの交付請求等によって,公開されます。また,筆界特定の対象となった土地の登記記録に,筆界特定がされた旨が記録されます。
Q.
筆界特定がされたら,境界標の埋設や塀などの越境物の撤去はできますか。
A.
筆界特定には,関係当事者の権利義務を形成し又はその範囲を確定すること(行政処分)が認められていないことから,筆界特定されたとしても,その後,境界標の埋設や塀などの越境物の撤去について,関係当事者で合意する必要があります。
Q.
境界標の埋設や塀などの越境物の撤去も含めて,境界問題全般が解決できるような制度はないのですか。
A.
裁判手続や裁判外紛争解決手続(いわゆるADR)となります。なお,境界紛争に関するADR組織としては,千葉県土地家屋調査士会が運営する「境界問題相談センターちば」があります。
「境界問題相談センターちば」の利用を検討されるなら「境界問題相談センターちば」のホームページを確認願います。
筆界特定に関するご質問・ご相談は,最寄りの法務局にお尋ね下さい。