土地・建物等の借主は,地主・家主等の貸主からの賃料の値上げ要求等を不当とする場合に,相当と認める額の賃料を提供し,その受領を拒否されたときは,相当と認める額の賃料を「受領拒否」を供託原因とする弁済供託をすることにより,賃料債務を消滅させることができます。
しかし,訴訟の結果,賃料の値上げが相当とされた場合には,供託した額との差額を貸主に支払わなければならず,供託することによって争いが解決するわけではありませんので,御注意ください。
土地・建物等の借主は,地主・家主等の貸主からの賃料の値上げ要求等を不当とする場合に,相当と認める額の賃料を提供し,その受領を拒否されたときは,相当と認める額の賃料を「受領拒否」を供託原因とする弁済供託をすることにより,賃料債務を消滅させることができます。
しかし,訴訟の結果,賃料の値上げが相当とされた場合には,供託した額との差額を貸主に支払わなければならず,供託することによって争いが解決するわけではありませんので,御注意ください。
弁済供託によって債務を消滅させるためには,供託原因が必要です。供託原因としての「受領拒否」とは,例えば,借主が支払日(弁済期日)に賃料(弁済の目的物)を貸主 の現在の住所地に持参して受領を催告するなど,賃貸借契約内容(債務の本旨)に従った適法な弁済の提供をしたにもかかわらず,貸主がこれに応じなかった場合をいいます。
したがって,「受領拒否」を供託原因として供託する場合には,借主は,供託をする前にまず貸主に対して弁済の提供をする必要があります。弁済の提供をすることなく供託することが可能な場合もありますが,家賃の値上げを要求されたというだけでは,「受領拒否」が明確であるとはいえず,弁済の提供が必要です。
なお,弁済の提供方法が不適法であった場合は,供託の効力が無効となることがありますので,御注意ください。
供託をする場合には,地代・家賃弁済供託用の供託書(供託所で無料配布)に必要事項を記載し,これに賃料(供託金)を添えて,賃貸借契約上の支払地(債務の履行地)に所在する供託所において供託の手続を行う必要があります(インターネットを利用して供託をすることも可能です。詳しくは,法務省ホームページの「オンラインによる供託手続」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji67.html)を御覧ください。)。
なお,供託金の提出は,現金持込(本局のみ),ペイジーを利用してATMから入金する方法,インターネットバンキングから振り込む方法,銀行窓口から振り込む方法がありますが,銀行窓口からの振込には手数料がかかります。
(1) 代理人が供託しようとするときは,委任状(代理権限証書)を提示してください。
(2) 法人が供託しようとするときは,登記所の作成した代表者事項証明書又は登記事項証明書を提示してください。登記されてない法人が供託しようとするときは,関係官庁の作成した代表者の資格を証する書面を供託書に添付してください。
(3) 関係官庁への登録のない社団又は財団の代表者又は管理人の定めのあるものが供託しようとするときは,社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表者又は管理人の資格を証する書面を供託書に添付してください。
(4) 提示又は添付する各証明書は3か月以内のものでなければなりません。
(5) 供託書に添付した書類については,供託者は,供託の際に,「原本と相違ない。(氏名)印」を記載した当該書類の写しを添付して,原本の還付を請求することができます。
(6) 供託所が当該法人の登記を管轄する供託所と同一の法務局(東京,大阪及び名古屋の各本局を除く)の場合には,登記所の作成した証明書について「簡易確認」の方法によることができます。
(7) 供託した者は,遅滞なく,債権者に供託の通知をしなければなりませんが(民法第495条第3項),供託通知書の発送を供託所に依頼する場合には,相手方の人数分の切手が必要です。