地主(家主)の死亡の通知を受けて,地代(家賃)の支払先が分からなくなった場合にする供託

弁済供託について

 土地・建物等の借主は,地主(家主)の死亡によりその相続人が分からなくなる等,自らに過失がないにもかかわらず賃借料等の支払うべき相手が分からなくなった場合は,当該賃料につき「債権者不確知」を供託原因とする弁済供託をすることにより,賃料債務を消滅させることができます。 

「債権者不確知」について

 弁済供託によって債務を消滅させるためには,供託原因が必要です。供託原因としての「債権者不確知」とは,例えば,債権者である貸主が死亡し相続が開始されたが,相続人が誰であるか事実上知り得ない場合(相手方を「何某の相続人」とする。)等をいいます。 
 債権者不確知といえるためには,①当初,特定人に帰属していた債権が,その後の事情により変動したため,債務者において債権者を確知できなくなったという場合で,②真の債権者を確知できないことが,債務者の過失によるものでないことが必要です。これに該当するか否かは,個別の事案により判断されることになります。 

供託手続

 供託をする場合には,地代・家賃弁済供託用の供託書(供託所で無料配布)に必要事項を記載し,これに賃料(供託金)を添えて,賃貸借契約上の支払地(債務の履行地)に所在する供託所において供託の手続を行う必要があります(インターネットを利用して供託をすることも可能です。詳しくは法務省ホームページの「オンラインによる供託手続」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji67.html)を御覧ください。)。 
 なお,供託金の提出には,現金持込(本局のみ),ペイジーを利用してATMから入金する方法,インターネットバンキングから振り込む方法,銀行窓口から振り込む方法がありますが,銀行窓口からの振込には手数料がかかります。 

供託に必要な書面

(1) 代理人が供託しようとするときは,委任状(代理権限証書)を提示してください。 
(2) 法人が供託しようとするときは,登記所の作成した代表者事項証明書又は登記事項証明書を提示してください。登記されてない法人が供託しようとするときは,関係官庁の作成した代表者の資格を証する書面を供託書に添付してください。 
(3) 関係官庁への登録のない社団又は財団の代表者又は管理人の定めのあるものが供託しようとするときは,社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表者又は管理人の資格を証する書面を供託書に添付してください。 
(4) 提示又は添付する各証明書は3か月以内のものでなければなりません。 
(5) 供託書に添付した書類については,供託者は,供託の際に,「原本と相違ない。(氏名)印」を記載した当該書類の写しを添付して,原本の還付を請求することができます。 
(6) 供託所が当該法人の登記を管轄する供託所と同一の法務局(東京,大阪及び名古屋の各本局を除く)の場合には,登記所の作成した証明書について「簡易確認」の方法によることができます。ただし,簡易確認の方法が認められるのは,直接窓口に来庁されて手続を行う場合のみです。 
(7) 供託した者は,遅滞なく,債権者に供託の通知をしなければなりませんが(民法第495条第3項),供託通知書の発送を供託所に依頼する場合には,相手方の人数分の切手が必要です。 

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